ハネムーン

長門有希の推薦図書100冊 #2
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ハネムーン ハネムーン
吉本 ばなな (2000/07)
中央公論新社

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イギリス人の小説があって、フランス人の小説があって、日本人の小説がある。大文字の『小説』は存在せず、言葉はそれぞれのルールを踏んで踊るだけ。
"日本人の小説"とは何だろう。わたしは思索の中で吉本ばななの小説「ハネムーン」に出会った。1997年12月初版。その年はちょうどエヴァ劇場版が公開され、現代日本人が痛みと向き合いはじめた時期でもある。
ハネムーンは生きていること自体の痛みを描いている。同時に日常の片隅に落ちている奇跡にまなざしを向けたりもする。その対比がますます物語にリアリティを与える。登場人物である18歳の裕志は、両親に捨てられ祖父に預けられて育った。彼は毎晩、祖父の心臓がちゃんと動いているのを確認してからねむる。死が積もっていくことに敏感なのだ。彼はまたすぐに泣いた。まるでシンジ君をそのまま歳だけ成長させたようなキャラクターである彼は、やはり男性の脆さ、弱さを象徴している。現代、男性はとてもフラジャイルな存在なのだ。小さな奇跡を敏感に感じ取ること、ていねいに生きていくということの難しさを、力強い日本語で表現した傑作。
ギャルゲーは痛みをエンターテイメント化して受容する程度のものだけれど、本作はトラウマづくりと思って手を出すと、本当に膝を抱えて部屋の隅でぷるぷるすることになるから気をつけて・・。

モレルの発明

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長門有希の推薦図書100冊 #1


モレルの発明 モレルの発明
アドルフォ ビオイ・カサレス(1990/09)
書肆風の薔薇

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本作はボルヘスとも友好深かった著者のノーベル文学賞受賞作。
今回これを取り上げたのは他でもない、凉宮ハルヒシリーズの著者こと谷川流ライクなSFミステリが効いたユニークな作品であるという点による・・つまりそれは、トリックや設定の妙と言った部分についての評価。

男が国を捨てたどり着いた誰もいないはずの孤島で、彼は奇妙な人々に出会う。しかし不思議なことに彼らは男に全く気づかない。それどころか、彼らは来る日も来る日もまるで演劇の台本を演じるように、同じ曜日の出来事を繰り返している。異常な状況化の中、男はだんだん自分が幽霊のように感じ始める。彼は島の中心部にある博物館を訪れその原因を突き止めるのだが、さて彼はそこで何を知るのか・・とそんな内容。

大型書店でもほとんど見かけることがないため、国内では一般層に知名度の低いもったいない外国文学。購入方法としては、書店注文よりamazoの利用をお薦めする・・。ちなみにキッチンガールは当時東京芸術大学先端芸術表現科教授でメディア・アーティストの藤幡正樹氏に薦められて読んだらしい。

ハルヒ好きにはたまらない本・・・と思う。

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